B検2級で出題されることの多い「損益分岐点」ですが、「公式暗記」で終わらせては実際のビジネスにつなげて理解できません。物価高など環境変化により企業のコスト構造が揺れ動く今、“利益の仕組み”を式ではなくプロセスで理解したいものです。

前回に引き続き、損益分岐点を求める事例を紹介します。
<演習例>
あるサークルが、学園祭でフランクフルトとソフトドリンクを販売する模擬店を出すことになりました。
・フランクフルト 販売価格1本250円(仕入原価1本150円)
・ソフトドリンク 販売価格1本150円(仕入原価1本100円)
・固定費(消耗品費、機器レンタル費等)30,000円

〔設問1〕は、フランクフルトとソフトドリンク1本ずつ売った場合の売上が400円、仕入原価は250円なので、粗利益は150円になります。固定費の30,000円を粗利益150円で割ると、30,000÷150=200 で、200本ずつ売ったときの売上高が損益分岐点売上高になります。(250+150)×200=80,000 80,000円が答です。
〔設問2〕は、フランクフルトの売上から得られる粗利益は、1本あたり100円なので、100×250=25,000 で、25,000円になります。固定費30,000円との差額は30,000-25,000=5,000 で、5,000円になり、ソフトドリンクの売上1本あたりの粗利益50円で割ると、5,000÷50=100 で、100本が答です。
上記のケースでは学園祭期間だけの販売になるため、できるだけ売れ残りを出さないように「値引き」して販売することがあります。スーパーなどで、翌日に販売できない弁当や総菜には、夕方になると値引きシールが貼られるのも同じ理屈です。値引きした場合、仕入原価は変わりませんので、粗利益が値引き分減少する理屈になることを理解しておきましょう。
さて、費用についてですが、「固定費」「変動費」の他にも「販売直接費」「販売間接費」という分類の仕方があります。「販売直接費」は、特定の売上に直接対応し、売上に比例して発生する費用のことで、「販売間接費」は、販売に直接は対応しなくても、販売活動を支える費用のことで、複数の製品やサービスに共通して必要となるもの(ex.広告宣伝費、外注費など)が該当します。
今回は、ホテルのクリスマス・ディナーの販売を促進するために企画されるディナーショーをケーススタディにして損益分岐点を計算してみましょう。
・参加料金:30,000円/人 *内訳 ショー:20,000円 料理・飲物:10,000円
・費用:イベント企画会社 4,000,000円(出演料、運営委託費、広告宣伝費など)
企画全体の損益分岐点となる参加人数は何人になるでしょうか?
まず、クリスマス・ディナー(料理・飲物)については、参加人数に比例して原材料費も増減しますので、販売直接費になり、変動費に分類されます。一方、イベント企画会社に支払うショー関連費用については、参加人数には比例せず、ディナーの販売活動を支援する販売間接費になり、固定費に分類されます。
つまり、一人でも参加があればディナーについては粗利益が出ますが、ショー関連の費用を回収するためには何人の参加が必要かを、分けて計算することになります。
参加料金30,000円のうち、ショー関連の売上としては20,000円が該当し、関連費用の回収に充てられることになるので、何人の参加で費用の総額4,000,000円に達するかを計算すればよいわけです。
4,000,000(円)÷20,000(円)=200(人) 200人 が答です。

ここで終わらせず、学校の授業や社内研修では、リアルな視点から応用課題を設定して演習すると、より楽しく理解を深める学習ができます。
<演習例>
企画立案の段階では、過去のデータや経験などを参考にして試算をしますが、必ずしも意図した通りに集客できるわけではありません。上記課題のように、当初計画の修正を余儀なくされることも想定し、二の矢、三の矢を放てるよう計画に盛り込んでおく必要があるのです。
どうすればコスパを高め、効率よく売上を伸ばせるかを追求しがちですが、それによって企画の魅力や質が低下しては本末転倒です。本当に良い「モノ」や、ワクワクする「コト」であれば、お客さまは高価格でも納得して購入や予約をするという事例もあります。
計算して答を出すだけでなく、条件を変えてシミュレーションすることを習慣にしていけば、企画立案の際にバリエーションの幅が広がります。ぜひ実践していきましょう。