生成AIがデータ分析をしてくれる時代になっても、私たち人間が、数字を読み取り意味付けをして、課題に対応していく必要があることに今後も変わりはありません。本記事では、B検の問題を題材に、数字を「情報」にできる力を養う授業のヒントを解説します。
数字で考え、数字で伝えるメリットは、仕事上の問題発見と解決、改善に大きな役割を果たすことだと言えます。また、どんなにいい提案や企画であっても、具体的な根拠が数字で示せなければ説得力に欠けるため、上司の決裁が下りる可能性は低いでしょう。

数学が不得意だったので数字で考えるのが苦手という人がいますが、それは「数字を読み取る」ことに慣れていないだけで、着眼点に気づくようになれば苦手意識は徐々に解消されます。四則演算を適切に使うことに慣れて、読み取った後、データからさまざまな仮説を立てることや、検証ができるようになると確実に仕事の幅が広がるはずです。
報告の際、単にデータとして「数字」を伝えるだけでは意味がありません。「数字」を用いて伝える「情報」にこそ意味があると言えます。
「4月のA店の売上は950万円だった」だけでは、それが実績として良いのか悪いのかがわかりません。前月や前年同月と比べてどのくらい金額や割合が増減したかを、その要因とともに「数字」で示すことで初めて問題点の発見や改善、解決につながる有効な「情報」になります。たとえば、「前年同月比で店舗売上は20%減少したが、ネット販売は50%増加し、総売上は前年同月比95%で、直近1年では他店でも同じ傾向がある」という説明があれば、今後の対策に役立つ情報になるわけです。
今回は、令和7年度後期3級 問題7(4)を見ていきましょう。
(グラフ略 公式サイト・過去問題掲載 https://bken.sgec.or.jp/img/jobpass-problem/r_07second-3.pdf )
【選択肢】
正解:イ (正答率 22.1%) *アの解答率 50.6%
この設問の正答率が低かったのは、単位が異なる数字(金額と割合)を混同して解答したためと推察されます。<資料1>と<資料2>のデータをクロスさせて考える(計算する)ことを意図した出題ですが、アとウを解答した半数以上の受験者は<資料2>だけを見て解答したとしか考えられません。
この問題は、3店舗それぞれの商品カテゴリー別売上高と利益率のデータがグラフになっています。店舗によって、利益額に最も貢献している商品カテゴリーは異なっていますが、ただ単にグラフの数字を見ただけでは正確に読み取れません。簡単な計算が必要になりますが、その場合も数学(あるいは算数)が得意かどうかは一切関係なく、どの数字に着眼して計算式を立てるかが重要で、それがわかれば答は容易に出せます。
今回の設問(4)の選択肢ア~ウの正誤を確認するためには、<資料2>のそれぞれの利益額を算出して比較する必要がありますが、<資料1>と<資料2>のグラフに表示されている数字を用いて、どんな計算式を立てれば算出できるかを考えるのがポイントです。
この場合、<資料1>の売上額に<資料2>の利益率を掛け算すれば、すべての店舗・商品カテゴリーごとの利益額が算出できます。
このようなグラフや表で示されたデータの数字は、資料によって単位が異なっているケースが多いものです。まずは単位の違いを確認し、その関連性を発見して演算することに慣れていけば、新たなデータを作成することが可能になるだけでなく、数字を使って(操作して)具体的に物事を考える習慣も併せて身につけられるようになります。
特定の業種や職種を除けば、多くの職業人にとって、わかりやすい(見やすい)資料を作成することが仕事の中心ではありません。大切なことは、資料から何を読み取り、どう活用していくかを考えて決断し、実行に移すことです。
将来的に、AIを活用した効率的なデータ分析が普及することはあっても、AIが現場の仕事まで代行し、責任を負ってくれるわけではありません。ツールとしてのAIが教えてくれる数字を、私たち人間が正しく読み取り、対応していく必要があることに今後も変わりはありません。これから社会人になる学生には特に心得てほしいと願っています。