数字を使って考え、伝える力は、仕事上の問題発見や改善に欠かせません。本記事では、B検の問題を題材に、データを情報として読み取る視点について解説し、グラフや表を読み取るときに気をつけたい点を2つ取り上げます。
前回は、複数の表やグラフが示す数字を正しく読み取り、適切な演算を用いて新たなデータが作成できることをお伝えしました。表やグラフに直接表れていないデータを掘り起こす作業が大切で、演習問題を考える際にも取り組まれたことと思います。

今回はグラフや表を読み取るときに気をつけたい点を事例で2つ紹介します。(令和5年前期3級 問題7(3))
(グラフ 公式サイト・過去問題掲載 https://bken.sgec.or.jp/img/jobpass-problem/r_05first-3.pdf )
【選択肢】
正解:イ(正答率 78.8%)
すべての年代のグラフが左右同じ長さなのは、それぞれの回答割合(構成比率)を表すもので、合計が100(%)になるからですが、表を見ると会員数は異なることに気づきます。この問題の場合、20代と40代では会員数に3倍の差があることを把握した上で比較することが必要です。
上記の選択肢イ については、「年代別の会員数」の表を見て、20代の会員数300人に、「インスタ映え」割合の20%を掛け算すると60人になります。ところが、30代、40代それぞれの「インスタ映え」割合が15%、10%で20代より低いにもかかわらず、会員数を計算すると、ともに90人で、逆に20代より多くなっています。表やグラフの数字を眺めるだけでは錯覚しがちですが、まさに隠れているデータを「掘り起こす」ことで見えてくる事実があるということですね。
グラフや表の数字を読み取るときは、「割合」(%)と「実数」(人)を混同しないよう、特に単位に注意して確認する必要があります。
表やグラフに表れる複数の数字を比較することで、「傾向」や「法則性」などを読み取ることができますが、その際にしばしば「異常値」が発見されます。「異常値」は、全体の傾向や法則性からは大きくかけ離れた例外的な数値を意味しますが、その原因となった特殊事情(→自然災害や新型コロナウイルス流行等による一時的な来客数や売上の大幅減少など)を探ることが大切です。そして、その値を除外した場合でも全体の傾向は同じなのか、変化が見られるのかを見極めることが重要と言えます。
たとえば、下記の事例で、「異常値」が「平均値」に与える影響について検証してみましょう。
| ① | ② | ③ | ④ | ⑤ | 計 | 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Aチーム | 155 | 160 | 160 | 165 | 210 | 850 | ||
| Bチーム | 160 | 165 | 170 | 175 | 180 | 850 |
両チームの5人の身長合計は同じですので、平均値も同じになることがわかります。平均値はともに170(cm)です。つまり平均身長では両チーム互角という理屈になりますが、Aチームは5人中4人が平均値より低い数値になっているのがわかります。その原因は⑤の選手の身長が飛び抜けて高いからですが、両チームの⑤の選手を除いた4人ずつを並べて比較すると、明らかにBチームの方に身長の高い選手が多いとわかるはずです。
私たちは「平均」と聞くと、つい、全体の真ん中(中間)あたりをイメージしますが、必ずしも全体の中で「中間の値」でも「多い値」でもないということです。
そこで、「中央値」を比較してみるとどうなるでしょうか。「中央値」とは、サンプル全体を大小順に並べて中央に位置する値のことですが、この事例では5人中の3番目に位置する値になりますので、Aチームは160(cm)、Bチームは170(cm)となります。身長差で戦力分析をする場合、「中央値」の方が現実的なデータとしては有効と言えそうです。
他にも、アンケート調査などで多用されている、「1(とても悪い)~5(とても良い)の5段階評価点数」を集計する際には、小数点以下まである平均値(ex.3.52)を求めるより、「最頻値」(最も多い人数が選択した評価数値)を確認する方が役立つ場合もあることを知っておきましょう。
→学校の成績表も、全体の評定平均値が高いかどうかよりも、各科目の評価にA(あるいは“優”など)がいくつあるかに注目して数えたくなる人が多いのではないでしょうか。
表やグラフになった資料を見るときは、隠れているデータを“掘り起こす”習慣を身につけて、仕事や学習に役立てましょう。