挨拶は、出会った時に最初に交わすコミュニケーションです。専門学校入学後、多くの学校では挨拶を指導していると思いますが、自ら挨拶をすることが恥ずかしい、格好悪いと思っている学生も一定数います。授業で学んだことが、日々の学校生活の中で継続できているでしょうか。

コミュニケーションが得意と答える学生の中には、自分が話すことが好きだからという学生もいます。しかし、コミュニケーションは相手の話をしっかりと聞けることが基本となります。
学生時代は、気の合う仲間とのコミュニケーションが中心で良かったかもしれませんが、社会に出ると年齢や性別、価値観が異なる人、自分と気が合わない人ともコミュニケーションをとりながら仕事を進めなければなりません。お互いを尊重し、相手に敬意を払うこと、素直に話を聴き教わること、肯定的な考え方をすることが大切です。
挨拶は、そのような人間関係づくりの第一歩です。
上司・先輩・同僚といった一緒に働く仲間への挨拶には、相手に対する感謝やねぎらいの気持ちも込められています。挨拶を交わすことで会話のきっかけが生まれ、質問がしやすくなり、協力し合える関係づくりにもつながります。朝、気持ちの良い挨拶で一日をスタートすると、お互いに気持ちよく仕事を始めることができます。
お客様に対してはどうでしょうか。お客様は、技術や商品だけでなく、スタッフの対応やお店全体の雰囲気にも満足を求めています。「ご来店ありがとうございます」という気持ちを込めて迎えられることで安心して過ごすことができ、お帰りの際も笑顔で送り出されることで「また来たい」という気持ちにつながります。たった一言の挨拶が、お店全体の印象や評価につながるのです。
相手から挨拶されるのを待っている学生はいませんか。挨拶には、「自分の心を開いて相手に迫る」という意味があります。自ら進んでできてこそ挨拶です。
また、挨拶は言葉だけでなく、表情や声のトーン、姿勢が伴って初めて相手に伝わります。それらは挨拶をする側の心の表れでもあります。仕事では企業やサロン全体の印象となり、挨拶一つで失客につながることもあります。
Step1:表情訓練
表情は心が表にあらわれます。笑顔は『一銭もかからない高価なおしゃれ』です。笑顔は歓迎や感謝の意味を持っています。赤ちゃんのような純粋な笑顔を目指し、隣同士で向かい合って最高の笑顔を作る練習をします。
Step2:姿勢
①立ち姿勢や座り姿勢を整えます。(ふてぶてしい態度や横柄な態度は周囲を不快にさせます。)
②姿勢が整ったらお辞儀の練習です。Step1の笑顔も合わせて実践します。
Step3:発声練習
姿勢を整え、接客用語を5~10個発声します。姿勢を正すことで、お腹からしっかりと声が出せます。
Step4:
Step1~3を合わせて練習。はじめは全体で行い教職員がチェックし、その後は隣の人と向き合って練習します。
学生の習熟度や授業の進め方に応じて、Step1~3の順番は入れ替えても構いません。発声練習では、それぞれの接客用語にどのような意味が込められているのかも合わせて指導すると、その言葉に合った表情も自然についてくるでしょう。
学校生活では「自分一人くらい挨拶をしなくてもよい」と思っている学生も、実務実習から帰ってくると、挨拶の声が大きくなったり、自分から挨拶ができるようになったりします。朝からクラスや学年全体に活気が生まれることも少なくありません。
また、入社して間もない卒業生は、学生時代に挨拶について厳しく指導された意味を身に染みて感じているようです。学生時代には挨拶が苦手だった卒業生も、学校に遊びに来ると、座って話していても先生が通れば立って挨拶ができるようになっています。
ブライダル業界では、優れた技術を持っていても、スタッフ間で接客業としての挨拶ができなければ、お客様を担当させてもらえないサロンもあります。
学校生活には、挨拶を交わす場面が数多くあります。だからこそ、授業で学んだことを日々の学校生活の中で繰り返し実践することが大切です。はじめは形からでも構いません。毎日の積み重ねが習慣となり、やがて自然な振る舞いへと変わっていきます。学生生活そのものを社会人になるための準備の場と捉え、日々の挨拶を積み重ねていくことが、将来につながる大きな力になるのではないでしょうか。私たち教職員もまた、その手本となる挨拶を日々実践していきたいものです。