仕事では、正しい知識を持つだけでなく、その場に応じて適切に判断し行動する力が求められます。その判断を支えるのが「仕事の基本となる8つの意識」です。今回はケース問題から「改善意識」の働きと質問の重要性を読み解きます。
社会人になる一歩手前の教育現場(主として専門学校、大学、短大)では、入社(採用)試験を意識し、多種多様な 検定や資格試験の合格を目指して対策授業に取り組んでいる現状があります。

しかし、多くの専門知識を得て資格を身に付けたとしても、それだけですぐに仕事ができるようになるわけではありません。実際の現場では、状況に応じて持っている知識を意識して柔軟に活用していく姿勢が求められ、場数を踏むことで経験値も上がっていくことになります。
大切なことは、「仕事の基本となる8つの意識」(3級テキスト 第2章)を軸にして考えることで、何が優先されるべき状況なのかを常に考えながら判断していくことが習慣になれば、社内外での信頼関係構築にもつながると言えます。
今回は令和5年度後期試験の2級 ケース問題を見てみましょう。
問題6.次のケースを読んで各問に答えよ。
細木彰は、新車を販売する「ワールド自動車販売」に入社し、3年目になる社員である。ワールド自動車販売は、ある県の西部地域に5つの店舗と整備修理工場を持ち、近隣のお客さまを中心に車を販売し、車検や定期点検、車の不調時には迅速に整備・修理を行っており、評判が良い。細木はA店に勤務し、主な業務は車の購入や点検整備・修理のために来店したお客さまの接客と、販売促進のイベント企画である。イベント企画は上司であるA店店長の和田から指示を受け、後輩で入社1年目の大山を指導しながら進めている。
ある日、細木は和田から大山とともに打ち合わせに呼ばれて、次のような指示を受けた。
大山「 X 」
細木「 Y 」
(1)大山の発言(X)に対する細木の発言(Y)についての記述の正誤の組み合わせとして、適切なものを選択肢から選べ。(選択肢①③省略)
※設問該当部、本誌未掲載。参考リンク:https:bken.sgec.or.jp/img/jobpass-problem/r_05second-2.pdf
選択肢②は適切な会話ですが、誤りと判断した解答者が、全体の53%いることです。
②を誤りとした解答者は、おそらく大山(X)の発言内容が引っかかったものと思われます。店長の意向が販売促進とニーズ 調査の二本立てで、それを指示しているにもかかわらず1年目の社員が反論していることと、先輩の細木がすぐに大山の発言を注意(否定)していないことが理由の多くではないかと推察します。
まず、店長が指示の最後に、「何か意見はありますか」と発言を促していますので、役職の上下に関係なく自分の考えを述べることに問題はありません。また、指示の受け方としても、指示の内容や目的に疑問を持ったのであれば質問をし、納得したうえで仕事に取りかかることが大切です。(3級テキスト 第4章-1)
細木(Y)の発言に関しては、大山の発言を受けてその理由を問う追跡質問の形になっていて、アクティブリスニングの質問技術の一つとして相手の考えを引き出す役割を果たしていると言えます。(2級テキスト 第3章-4)
上記のケースを「8つの意識」に当てはめて考えると、「改善意識」をもって企画に取り組んでいることがわかります。現在だけに 視点を置いて販売促進するのではなく、この先に予測される需要の変化をすみやかに捉えて企業活動に活かしていく姿勢が表れていると言えます。具体的には、地下鉄の延伸地域での車利用の減少に伴い、売上に影響が及んでいるという問題を発見したため、アンケート調査によりニーズの変化を把握し改善につなげるというものです。※
一時的な流行にのって売上を伸ばしたとしても、それがいつまでも続く保証はありません。商品やサービスは常に進化(変化)していくものですから、新しいニーズの予兆にいち早く気がつけば先手を打つことができるわけです。展示会などのイベントは、多くの購入(見込)客が集まる仕掛けをするのですから、たとえその場では売上につながらなかったとしてもニーズ調査をするには絶好の機会になりますね。どの企業も、売上が絶好調のときにはもう次のバージョンの新商品や新サービスを打ち出す準備が進んでいるものです。
それぞれ、何を確認しなければならないかを考えて、上司に質問(確認)する練習をしましょう。
※「5W2H」や「二者択一」などを意識して質問を整理してみるのが基本です
上司の指示やお客さまの要望は常に完璧なわけではありません。大切なことは、不足している情報を引き出すための質問力を磨くことです。指示や要望を出す方は「伝えた」つもりでも、肝心なことが抜けていたり、勘違いしていたりする例は多いですね。
本人も気づいていないことを、こちらから提案する質問力が身に付けられれば、信頼関係も強くなると言えるでしょう。