団体担当者様への情報発信
お客さまの声を活かして得意客を創出する戦略
2025.6.25 Vol.7

企業の成長には、新規顧客の獲得だけでなく、ファンづくりも欠かせません。今回は2級問題を題材に、お客さまの声を活かした改善活動やPDCAサイクルの考え方を学び、演習を通じて理解を深めましょう。

前回は利用客アンケートを活用した戦略事例について学びましたが、一過性の利用客が増えるだけでは安定した売上や利益の確保はできません。大切なのは、一度利用したお客さまがファンになる仕組みが構築されていることです。ファンになれば、お客さまは身近な人たち(家族、友人など)に「口コミ」で広めてくれることが期待され、広告宣伝費用をかけなくても「売れる仕組み」が構築される原動力となります。

B検 News Plus Vol.7

リピーターというのは、利用客自身がファンという位置づけですが、店や企業への忠誠心(ロイヤルティ)が高い人たちばかりというわけではありません。つまり、他社の商品・サービスに自分の欲求を満たすモノがあれば、すぐに乗り換える顧客でもあります。今回は、「リピーター」にとどまらず、「得意客or上得意客」になってもらう戦略を考えてみましょう。得意客を増やすことが新規顧客獲得にもつながると言えます。

まずは、VOL.6の演習問題を振り返り、知名度が低く、規模が小さくても、大手に対抗して固定客(リピーター、得意客)を増やす施策を考えてみましょう。

<演習例>

大手ハンバーガー&ドーナツのコラボ店「A」の近隣に、単独のファストフード店「B」が出店することになった。「B」が価格競争を避けて顧客確保と売上拡大を図る具体的なアイデアを自由に考えてみましょう。→ 詳細はVol,6

〔アイデアの例〕
回答者:大学1、2年生

・主たるターゲットとなる客層をファミリー客に定めた商品計画と価格設定をする
・子供向けのデザイン(動物など)や大人の女性向けのヘルシーでハーフサイズのパン、ドーナツを
 メニューに入れる
・品質重視で価格は大手の平均価格より高めに設定し、定期的に割引セールを実施する
・早朝や閉店前にタイム割引セールを毎日実施する
・ポイント(またはスタンプ)カードのサービス+抽選会を実施する
・「パンづくり教室」を定期的に開催する
・リピート客の参加による新商品の試食会を実施し、評価や意見をもらう
・SNSを活用して、営業案内、イベント案内、情報交換に努めてファンづくりをする
・近隣の会社への出張販売(昼食時間)の実施を交渉する  etc.

大切なことは、薄利多売でも経営が成り立つ大手チェーンとの競合を避けるため、大手にはない特色を打ち出して差別化を図ることです。そのためには立地を活かしてターゲットとする客層を絞り込み、最初は少ない客数でも時間をかけてコツコツとファンを増やす仕掛けを実行し続けることが重要と言えます。

日ごろ利用していただいているお客さまを「〇〇づくり教室」「新メニュー試食会」などのイベントに参加してもらうことで、率直な声(感想や意見)を聞く機会ができます。商品開発や改善にお客さまの声が活かされていることがわかると、お客さまは自分が大切にされているという気持ちになるものです。利用客目線でのアドバイスをしてくれる機会も増えて上得意客になり、生涯顧客へとステップアップしていく流れができます。

また、最近ではお客さまを「商品を購入してくれる人」と捉えるだけでなく、「お客さまから何が学べるか」という視点が企業側にあることを触れておきたいと思います。つまり商品やサービスをより良くするためにお客さまの声を積極的に聴き入れ、企業の成長につなげようというものです。

顧客獲得には適切な手順を踏む必要がありますが、間違えると逆効果になって顧客離れを誘発することもあるため注意が必要です。

今回は、令和5年度後期の2級問題を見てみましょう。

問題2.

(3)
コンピュータ・システムを販売する営業担当者が、お客さまの立場に立った取り組みを進める順番として、適切なものを選択肢から選べ。
お客さまの反対意見や疑問点に対して適切な回答をして、お客さまとの信頼関係を築いてゆく。
自社のノウハウと組み合わせ、お客さまに最適と考えられるプランを作成する。
解決策やその効果をわかりやすくまとめ、お客さまに伝える。
アクティブリスニングを心がけ、お客さまのニーズを聞くと共に、お客さまの業務を理解し、お客さま自身も気がついていないニーズや課題にも注意を配る。

【選択肢】

ア.
④→①→②→③
イ.
②→④→③→①
ウ.
①→②→④→③
エ.
④→②→③→①

正解:エ (正答率56.0%)

仕事の進め方の基本にPDCAサイクルがありますが、計画(Plan)を立てる前提としては、お客さまの声から浮かび上がるニーズに応えることが最優先になります。上記問題の④にあるように、お客さまも気づいていない「潜在ニーズ」を捉えて具体的に商品やサービスに反映させることも大切です。実行(Do)後、お客さまに効果を評価(Check)していただき改善策を立てる(Act)ことで、質的なレベルアップと、①にあるようなお客さまとの信頼関係構築につなげられると言えます。

注意しなくてはならないこととして、お客さまの声を聞いても、改善策を立てる前に着手できない理由(言い訳)を並べて、貴重な意見を却下してしまうことです。

かつて、大手コンビニエンスストアの創業者であるS氏は、「みんなが反対することこそ、挑戦する価値がある」と言い続け、コンビニで少額の現金を下ろせたら便利だからと銀行を発足させ、今では多くの人が恩恵を受けています。誰もが賛成することは、ただの「常識」で、過去の経験の産物に過ぎないというわけです。前例がないからと反対している組織が、イノベーションを生み出すことはないと言えそうですね。

*参考:
  2級テキスト お客さまを獲得するには(P.46~47)
  マネジメントの基本はPDCAサイクル(P.80~81)

演習例

地域住民が関心を持って参加したくなるイベント(学生向け演習:学園祭 社会人向け演習:販促イベント)にするためのアイデアを、自由に、かつ具体的に考えて書き出してみましょう。

(元 金沢星稜大学女子短期大学部教授 山本 航)
一般財団法人 職業教育・キャリア教育財団
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