適切な連絡や相談は、仕事の進行を支え、円滑なコミュニケーションにつながります。本コラムでは、連絡・相談の基本とタイミングを取り上げ、自ら考え行動するための相談のあり方について考えます。
ビジネスにおける「連絡・相談」の方法としては、口頭(対面、電話)と文書に大別できますが、文書の場合もEメールを有効に活用することで、より迅速に必要な連絡・相談ができるようになりました。今ではデジタル・ツールの活用なくして円滑な社内外のコミュニケーションは考えられないと言っても過言ではありませんね。

Eメールと口頭(対面、電話)の使い分けを適切に行うために、それぞれのメリット、デメリットを整理しておきましょう。
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| Eメール | ・記録に残る(読み返せる) ・同時に複数関係者に発信可能 |
・いつ読むか不明(埋もれる可能性) ・一方的発信 ・感情が伝わりにくい |
| 口 頭 | ・相手の感情や考えを理解しやすい ・双方向のやりとりが可能 |
・記録に残らない(行き違いの可能性) ・相手の都合に配慮が必要 |
上記の特徴を踏まえた上で、たとえばEメールに資料ファイルを添付して送信した後に電話を入れて受信を確認するなど、併用することで円滑なコミュニケーションが可能になります。
連絡や相談の仕方については、3級テキスト(P.52~)にまとめられていますが、どんなタイミングで行うかを考えることが最も大切なことと言えます。
連絡するタイミングの基本は、相手の業務(行動)に直接影響すること(ex.会議の開催、顧客情報など)については、はっきりした時点ですみやかに行うのが原則です。提出物や出欠回答の締切日などを、前日までに「リマインド・メール」で再連絡することも日常的に行われるようになりました。
相談の仕方について、令和4年後期 3級 問題2(3)を見てみましょう
問題2.(一部改題)
(3)先輩や上司への相談の仕方に関する記述で、適切なものを選べ。
正解:ア
最も大切なことは、相談相手(上司)に決めてもらうのではなく、最終的に自分自身が結論を出すためのヒントを得ることです。つまりいくつかの選択手段が考えられる場合、よりよい選択をするために経験値の高い人の意見を参考に自分で決断するわけです。相手に丸投げでは無意味ですし、成長にもつながりません。
上記の選択肢 ア のように、まずは自分の考えを整理してから相談することが大切です。具体的には「何に悩んで(迷って)いるのか」「悩んで(迷って)いる要因は何か」「どの部分について意見がほしいのか」を明確にしておきましょう。たとえば、自分が考えた案を複数提示して、それぞれの案について一長一短を説明し、意見をもらうのも有効です。
せっかく相談したのに、相手からの回答がしっくりこないとか、納得がいかないとかいうケースもあります。ビジネス社会では、絶対的正解が常にあるわけではないのも事実ですが、相談相手の回答に対する配慮を欠いてはいけません。その場合でも、「否定はしない」「不本意な同調はしない」「一旦、受け止める」ということを心がけたいものです。
〔例〕
「***ということですが、それは難しいと思いますので賛成はできません」(否定)・・・ ✕
「***というのが仕方ないのなら、私もそう考えるようにします」(不本意な同調)・・・ ✕
「***というお考えなのですね。なるほど、よくわかりました」(受け止め)・・・ 〇
最後の「受け止める」というのは、相手の意見を尊重し、しっかり聞き入れたことを伝える返答の仕方です。相手の言葉を繰り返す「バックトラッキング」を用いる会話は、相手に安心感を与えられるので、覚えて活用しましょう。
昨年、電通が実施したZ世代就活生の働き方希望調査では、「リモートワーク中心」より「オフィスへの出社中心」の働き方希望が多く、仕事への向き合い方も、「ある程度放置されても、裁量権を与えてほしい」より「ある程度拘束されても、手取り足取り教えてほしい」という希望の方が多い結果が出ています。対面でのコミュニケーションを希望している人が多いということがわかりますが、もしかすると、知っている人やAI(人工知能)に質問すればすぐに適切な答を得られるという思い込みがありそうにも受け取れます。
ビジネスで大切なことは、答を探す術を身につけて見つけた答を覚えることではありません。ケース・バイ・ケースで変化する適切な答を、周囲の人たちとのコミュニケーションを通して自分で考えて結論を出すことです。
過去のデータを学習して将来予測するAIに相談し、アドバイスをもらうことを否定はできませんが、あらゆるケースに対応できる万能な力がAIにあるわけではありません。あくまでも参考にするという原則で、最終的には自分で考えて決めることの大切さを、学校や職場の指導者は伝えていく必要があります。