ビジネス能力検定 B検 ジョブパス >> 導入事例 >> 【導入事例】金沢星稜大学
金沢星稜大学
 「B検合格を成功体験の入口にして、大学生活を前向きに」

河合経済学部長 B検を受験して

 就職率の目覚ましい上昇により、地元のみならず、今では全国の教育機関から注目を集める金沢星稜大学。 2015年度卒業生のうち、就職希望者を基準にした名目就職率は98.6%。卒業生全員から換算した実質就職率も94.5%と高く、 いずれも多くの大学が公表する名目就職率の全国平均値を20%以上上回っています。その成功の要因の1つと目されるのがビジネス能力検定。 受検勉強を通して自分の力で勝ち取った、入学後初めての合格という成功体験は、これからの大学4年間をどう過ごすか、 成長意欲を引き出す弾みとなっています。
  • “大学改革”の1つとしてビジネス能力検定を導入
  • 社会人としての意識を育む授業
  • 成功体験をきっかけに学びの意欲が高まる

友部エクステンションセンター課長
 学生に変化が見られました

“大学改革”の1つとしてビジネス能力検定を導入
 金沢星稜大学は、2017年に創立50周年を迎える伝統ある大学です。1967年、金沢経済大学として発足し、2002年に金沢星稜大学に名称変更しました。長らく経済学部の単科大学でしたが、2008年に人間科学部、2016年に人文学部を開設。現在は3学部5学科体制で、「誠実にして社会に役立つ人間の育成」を教育理念に、社会に有為な人材を輩出しています。就職支援を行うエクステンション課の友部充洋課長は、「とりわけ地元・石川県出身の学生が約9割と多いことから、地元の学生をしっかりと育ててお返しし、地域社会に貢献していただくことが私たちの最大の使命と考えています」と話しています。

 しかし、少子化による“大学全入時代”を控えた2000年代前半、同大は厳しい状況にありました。高校新卒者の減少に加えて、当時は就職氷河期のさなか。特に「私大文系出身」の就職状況は厳しく、その象徴が経済学部でした。経済学部の単科大学であった同大は「定員数を割り込む状況が続いた」(友部課長)といいます。低迷を打開するため、同大はさまざまな施策を実施。「大学にとってまさに大改革」を断行します。

 多くの施策の中で、カリキュラム改革の1つとして2005年から始まったのが「ダブルゼミ」です。これは1年次からスタートする必修のゼミナールで、「基礎ゼミナール」と「ビジネス基礎演習」の2つから成り立っています。クラスごとにこのダブルゼミを受講するとともに、基礎ゼミとビジネス基礎演習を受け持つ2人の教員をクラス担任にして、4年間、同じ教員がクラスの学生一人ひとりを支援する体制をつくりました。2つのゼミは、「大学生として4年間成長するために必要な知識を基礎ゼミナールで、一方、社会に出るために社会人に求められる知識を学ぶのがビジネス基礎演習」(友部課長)という位置づけです。そしてビジネス基礎演習の授業の1つとして、B検が導入されています。

経済学部経済学科4年 Mさん
 学んだことが活かせました

大学生活にも就職活動にも、
 B検の学びが役立っています。
 経済学部経済学科4年 Mさん 銀行内定
 授業を受ける前は「社会に出てからしか使わない知識を、なぜいま勉強するの」と思いましたが、実際に学ぶと日常生活に活かせる場面が意外と多いことに気付きました。特に私は高校時代から接客業のアルバイトをしていたので、B検で習う「クッション言葉」や、クレーム対応のノウハウは、お客様対応にすぐに役立ちました。相手の話をまず受けとめて、説明する。高校時代は店長にお任せしていたクレーム処理を、B検を学んで以降は自分一人でできるようになったほどです。

 就職活動においても面接はもちろん、人事担当の方から電話がかかってきた時など、落ち着いて話すことができました。無事内定をいただき、これからは銀行の窓口としてお客様と関わる機会が多い仕事に就くので、B検で習ったことがますます活かせるでしょう。授業でB検を学べてとても良かったと思うので、後輩にも勧めます。
社会人としての意識を育む授業
 ビジネス基礎演習の開講にあたり、エクステンション課ではカリキュラムに検定試験の授業を組み込むことを提案しました。その理由は「目標を持たずに大学生活を過ごしていた、(当時の)本学の多くの学生に、検定合格という具体的な目標を与えて意欲を引き出したい」(友部課長)というのが第一です。さらに学生たちの職業意識が当時かなり低かったことから、「職業能力が身につく内容であること」を重視してリサーチした結果、B検に辿り着きました。提案した時は、「大学で検定を教えるなんて」という反対意見も多かったそうですが、「学生にとって必要な、職業を学ぶ良い機会」と説得を重ねました。

 こうして2005年度から全学でB検の授業が必修科目としてスタートしました。一定の成果が見られたことから、現在では選択科目になっていますが、経済学部1年生全員が受検しています。「B検は、広く社会人として不可欠な知識・態度を問う検定なので、経済学部の学生には全員受検するよう指導しています」と語るのは、経済学部の河合正二教授。

 授業ではB検の公式テキスト、問題集を活用しながら、指導教員がテキストの欄外にある重要な部分も含めて、きめ細かく説明しています。その後、その日の授業範囲に該当する過去問を教員が選び、解くというスタイルで進めています。

 「工夫している点は、学生の正答率が低かった過去問をピックアップしていることです」と河合教授。正答率が低いのは、ビジネスと法律の関係や、税金知識などの分野で、「企業に勤めた経験のある社会人なら簡単でも、社会とまだ繋がりのない学生には、高校時代に習っていないこともあって、相当難しいようです。単にアルバイトをしているだけでは解けない問題がかなりあるのも、B検の特色ですね」と指摘します。ですから常に「社会人になった自分を想像して考えるように」と指導しているという河合教授。「学生のうちから社会人の立場、企業の視点で考えるトレーニングができるということも、B検を学ぶ効果だと思います」
成功体験をきっかけに学びの意欲が高まる
 同大では現在、B検2級の検定試験を1年次の7月に実施しています。「あまり準備期間が長いと緊張感がなくなるので、思い切って短期決戦で行きましょうと3か月後の合格を目指して、皆さん非常に熱心に勉強しています」(河合教授)。受検勉強については正課の授業以外にも、エクステンション課でB検の無料対策講座を設けて支援しています。

 その結果、2級は80%から90%の間と、毎回高い合格率を示すようになり、ここ数年は常に9割を超えています。「恐らくほとんどの学生にとって、B検は大学入学後に受ける初めての検定試験です。そこで合格という“成功体験”は、『目標があいまいなまま進学した』彼らにとって、自信をつける大きなきっかけになっています」と語るのは友部課長。それを実感したのが、他の検定試験における学生の意欲の高まりです。同大では「エクステンション講座」という名称で、簿記検定などの課外対策講座を開いていますが、夜6時からの開講で、また受講料がかかることもあり、これまで参加者は極めて少なかったといいます。「それがB検の導入以降、課外講座の利用者数は延べ2千人と、10倍近くも増加しました。B検2級はもちろん、あらゆる検定試験にチャレンジする意識が高まっています」。大学が閉まる夜9時まで残って勉強する学生も増え、「今ではそんな光景が当たり前になりました」と友部さんは述懐します。

 現在では地場企業はもとより、大都市圏に本社を置く大手企業の支店、さらには公務員・教員採用などに数多(あまた)の就職実績を重ね、定員の充足はもちろん、「就職できる大学」として第一志望に選ぶ学生も増加している金沢星稜大学。評判の高さは就職率などの数値だけではなく、採用側からも「社会人としての心構えや、基本的な行動が身についている」などの声が聞こえてきます。学生に「合格」という形で、これからの大学生活に自信をつけさせるとともに、職業人としての意識を早いうちから養うために、B検が効果的に活用されています。
(取材日:2016年10月)
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