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鈴鹿オフィスワーク医療福祉専門学校
就職支援の一環として委託訓練にB検活用 CBT方式で受験しやすく、合格により再就職の自信も
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1986年に創立された鈴鹿オフィスワーク医療福祉専門学校は、卒業生の多くが三重・鈴鹿市を中心とする地元で活躍する地域密着の専門学校。介護福祉科、医療秘書科、日本語科の正規課程のほか、1999年から行政の委託職業訓練を行い、現在3種類の職業訓練コースでB検を活用しています。訓練講座の企画・運営を行う生涯学習課の中川弘美先生に活用状況を聞きました。
訓練講座の学科プログラム「職業能力基礎講座」にB検導入
 同校では現在三重県の委託を受け、パソコンオフィスワーク科、医療ビジネス科、事務スペシャリスト科、介護初任者PC科、かいごスキルアップ科(外国人対象)の5つの職業訓練コースを年に9~10コース開講しています。B検はそのうち介護系・外国人コースを除く3つのコースに導入。「それまでは社会人としての一般常識を測るために別の検定を利用していましたが、B検の内容のほうがより幅広い仕事に活かせると切り替えました」と中川先生は振り返ります。パソコンオフィスワーク科では広く一般事務に求められる文書作成や表計算、データベースなどのパソコンスキルを学び、事務スペシャリスト科は主に経理関係の就職を視野に簿記検定試験にも挑戦します。医療ビジネス科は病院やクリニックの就職を目指して診療報酬請求事務の基礎理解などに力を入れています。「少しずつ特色が異なりますが、コミュニケーション力やビジネスマナーといった汎用的な社会人スキルはどのコースにも必要な学びです。そのため各コースで学科の『職業能力基礎講座』の授業においてB検の学びを採り入れています。就職支援の一環という位置付けです」。
 授業は基本的に3級と2級のテキストを使って進めていきます。講師によって特色はありますが、電話応対や携帯電話のマナーなどは先生がロールプレイングを行って実践的に教えています。また「仕事に大切な8つの意識」などの単元や「ジョハリの窓」(※1)による自己分析や自己理解といったテーマの時には、グループディスカッションを通してさまざまな意見を交わしながら理解を深めています。「そのほか時事用語を重視したり、CSRといったビジネスの3文字英語の一覧を作ったりと、講師それぞれに工夫されています」と中川先生。「キャリアコンサルタントの資格がある方もいてB検についても詳しいので、さらにB検の授業に力を入れてもらうようお願いしています」。
仕事能力の客観的な評価として検定試験を勧める
 職業訓練基礎講座におけるB検の授業は再就職という観点から2級のテキストの内容が中心ですが、教室には3級のテキストも置いて参考にしています。そのうえで検定に挑戦する希望者を募っています。委託訓練の受講対象者は現在三重県のハローワークに求職申し込みをしている方。「ほとんどが仕事に就いた経験があり、また学生ではありませんので『今さら』と、検定を受けることに意味を見いだせない訓練生もいると思います。ですから講座の始まりには必ず『社会人の仕事能力を客観的に評価する検定試験です』と説明を尽くしています。再就職にあたり一般常識的な部分がどれくらい身に付いているか、確認・評価の意味でもステップアップを図るためにも、受験する方が少しずつ増えています」。
 検定試験は校内で希望日に受けられる利点からCBT方式(※2)を利用。3コースとも訓練期間は3か月で、パソコンオフィスワーク科と事務スペシャリスト科は就職活動が本格化する2か月目に差しかかる前に検定試験を行っています。医療ビジネス科は講座修了間際に実施しています。どの級を受験するかは訓練生の自己判断に任せ、当日の授業が終わった後に希望者全員で一台ずつパソコンに向かっています。
 「私はこの秋から試験監督を務めていますが、訓練生の反応が興味深いです。試験終了前に試験監督に声をかけるよう呼びかけていますが、先に終了してすぐに結果を確認する方も。時には落胆の叫び声を上げる方もいて、私も内心残念がっています。逆にガッツポーズをとる方には思わず拍手。皆さん大人ですから淡々と試験勉強されているのですが、そうした反応を見るとやはり熱意をもって取り組んでいるのがわかって嬉しいですね。『人生の中でいま一番勉強しています』という声もよく聞きます」。講座の担当として受講生と3か月間をともに過ごしますので、喜び合い、励まし合うためにも合格の瞬間を共有するようにしています。
再就職の自信につながる効果も 課題は訓練講座の周知徹底

生涯学習課の中川先生
 訓練生のバックボーンは介護離職をして再就職を目指す人、子育てが一段落した人などさまざまですが、「最近は40代から50代の訓練生が増えており60代も珍しくありません。人生100年時代を象徴するかのように再就職を望む年齢層が上がっています」と中川先生。一方、中途採用を行う企業側は長期キャリア形成のための若手採用を別にすると、「一番は即戦力としてどれだけ仕事ができるかを重視。そのうえで職場の環境に自分を合わせられる協調性や、コミュニケーション力などのヒューマンスキルが高い人を求めています」と指摘します。離職したとはいえ長年の就労経験で培った知見を持つのが40代以上の強みですが、「体力が落ち、ブランクもあるのでどうしても再就職への自信が持てないという方が割と多くいらっしゃいます。当校は訓練生と距離が近く、私もいろいろな相談を受けるのですが、3か月という短い期間ではサポートも限られますので親身に話を聞くだけで精一杯。B検の学びと検定合格はそんな訓練生にとって、自分の仕事能力に対する自信につながるのは間違いありません」。
 委託職業訓練にもB検が有益なのは明らかですが、その前提として都道府県のハローワークや厚生労働省が、訓練講座を開講していることが広く周知されなければなりません。「残念ながらご存じない方がまだ多くいらっしゃるのが現状です。ハローワークに来て初めてこうした講座の存在を知り、入校手続きの期限ぎりぎりに申し込まれる方もたくさんいます」と中川先生。「本校でもホームページの案内を充実させたり、外国人対象のコースの場合は外国語のチラシを作成して商店街の店舗に配ったりと工夫していますが、まだ手探りの状態です。今後はSNSを活用した広報活動なども視野に入れています。行政、講座運営者、地域が協力して、必要な方に速やかに情報を届けられるように進めていけたら良いですね」と課題を語ってくれました。
※1:
自己分析の際に使用する心理学モデル。
コミュニケーションの円滑な進め方を考えるために提案された。
※2:
コンピューターを利用して行う試験の総称。利用者の希望日時に受験できる、即時に採点できる、受験者ごとにランダムな問題を出せるなどの利点がある。B検のCBT試験は、団体の施設を会場にし、希望する日時に受験できる。(要事前出願)
(取材日:2023年2月17日)
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