アーツカレッジヨコハマ 国際情報ビジネス学科
B検をより深く理解し、日本就職につなげるため
グループワーク中心の授業スタイルを確立
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神奈川・横浜市にあるアーツカレッジヨコハマの国際情報ビジネス学科は、日本で就職を目指す外国人留学生が多く学ぶ学科です。東南アジアを中心にさまざまな国の留学生が在籍します。IT・マネジメント・ホテルサービスの専門コースに加え、長期的に安定して日本で働き、生活するための学びが手厚く、その一環としてB検を導入しています。具体的な留学生のB検指導について話を聞きました。
日本人学生と同等の知識を 日本就職を意識してB検を導入

教務部 教務課
国際情報ビジネス学科 主事
安藤先生
国際情報ビジネス学科では2014年の開設以来、日本のビジネス社会に必要なスキル(日本語、パソコン、簿記等)を総合的に学びます。その中で、PATF(外国人実務能力検定)等にも挑戦しますが、いずれも外国人を対象とした試験で、「現在は採用選考でも日本人と外国人を分けず、同じ土俵で評価する企業が増えています。B検の定着によりB検を学んだ(日本人の)専門学校卒業生も多くなりましたので、少なくとも彼らと同レベルの知識は身につけておいてほしい。こうした思いと、年々、入学者の日本語力が高まったこともあり、『今なら理解してくれるだろう』と数年前に導入を決めました」と語るのは同学科の主事で、B検の授業を主導する安藤祥子先生です。同じ考えから、今の情報社会に必要とされるITスキルを評価するJ検(情報検定)※も実施。コースを問わず全員必修として情報活用試験3級・2級の合格を目標としています。
知識の理解・定着に向け グループワークを試行
入学者の日本語能力が向上したのは、同科が元々日本語能力をしっかり見て選抜していること、さらに就職実績などの評判が高まるにつれ、応募者が増加したことが背景にあります。近年の志願倍率は3倍ほどで推移し、入学時の日本語レベルは上がっています。
しかしそれでも、初期のB検の授業は順調とは言えませんでした。「B検のテキストに沿って、各単元の内容をできるだけ噛み砕いて教えたのですが、覚えるだけで精一杯という状況でした」と安藤先生は振り返ります。より良い方法を探るうちコロナ禍に見舞われ、クラスが少人数になったのを好機に、かねて考えていたグループワークを試してみることに。「それまで留学生は母国が同じ人だけで固まりがちで、また授業が終わるとすぐに帰ってしまうため、他国の学生との交流はあまりありませんでした。授業内でコミュニケーションを取らざるを得ない環境を作れば、母国語同士でしか話さない状況を改善できるとともに、多文化コミュニケーションを促進すると期待しました」というのがその狙いです。
グループワークはまず「多文化理解」の授業からスタートし、ソフトランディングを意識して1年次は担当講師がグループ分けを担当。前期は同国籍の学生でグループを組み、自国の文化を紹介する課題から始め、後期は異国籍ミックスで日本の文化を調べて発表します。特に後期は、国籍や男女比、リーダーシップがあるメンバーを1人ずつ入れる、など配慮した結果、メンバーそれぞれの取り組み方や改善点が明らかになるなど、グループワークの進め方も次第にブラッシュアップされていきました。
「全員が理解する」をゴールに 過去問を深掘りして優れた発表に
B検の本格的な授業は必修科目『ビジネスコミュニケーション応用』の2年次から始まります。1年次にビジネスマナーなどの基礎は習得しているため、初回から「B検の過去問題」を解かせるのが特徴です。
基本は、グループに過去問題を割り当て、学生は話し合い発表します。問題3回分・3サイクル回します。グループメンバーは初回のみ先生が、2サイクル以降はくじ引きでランダムに決め、割り振る問題も用語などの簡単なものと時事や統計など難しい問題をセットで組み合わせるなど、公平性を意識しています。
先生は、「なぜそれが正解か」「他の選択肢はなぜ違うのか」といったことを重視しながら発表に向けた準備を進めるようプッシュ。「たとえば用語問題なら『マーケティング』や『シミュレーション』などの意味だけではなく具体例を含めた説明、統計やグラフ問題では、実際の数値や計算式を使った『根拠ある説明』を求めています」と安藤先生。2サイクル以降は前回の反省を踏まえた発表のリハーサルも義務付けるなど、徹底的に発表の質向上に努めているため、「最終サイクルの最後のグループがうまく説明できた時は、クラス全体に大きな達成感が生まれます。意見の対立も含め、自分たちで考えながら総じて楽しく学ぶことにより、身に付き方も格段に向上しました」。
もちろん要所要所ではB検のテキストを用いて理解を強化しています。特に力を入れているのは、ビジネスで重視される「8つの意識」です。「その際も、たとえば顧客意識に関し、東南アジアでは『売り手の方が偉い』という文化の国もありますが、日本はお客様第一主義です。コンビニなどで丁寧に接客された驚きなど、自分たちに身近な経験をきっかけに興味を持たせ、理解を促しています」と安藤先生。時間を守る、あいさつする、などの意識醸成に関しては、B検の授業はもちろん学校生活を通して身につくよう繰り返し呼びかけています。また学園祭ではマネジメントコースの授業の一環として屋台やゲーム企画を運営。デザートや水餃子など母国の名物を販売する屋台では、原価計算や販売価格の設定、報告書の作成など、B検で教わるビジネスを実体験で学んでいます。
こうした細やかなフォローアップやグループワーク中心の授業スタイルにより、同科卒業生の就職実績はおしなべて好調。「最初の頃の卒業生は就職して4~5年になりますので、部下を持って活躍する人や、中には永住権の取得や帰化を目指す人も見られます」と安藤先生。母校を懐かしみ、卒業生が同校を訪ねてくることも多く、在学中は問題の多かった学生が、安藤先生のために親元に頼んで母国自慢の紅茶を送ってくれるなど、微笑ましいエピソードもたくさん聞けました。「私にとっては、長い時間軸で学生の変化を見守ることが大きなやりがいです。日本でいきいきと働き、暮らしていくために、今後もB検を実践的に活用していきます」(安藤先生)
※J検(情報検定)・・・ TCE財団が運営する検定。
(取材日:2026年1月20日)